BGI Dr.Tomを用いたRNA-Seq解析手順を初心者向けに徹底解説!

研究・実験・勉強

RNA-Seqのデータ解析って難しそう…

コマンド入力なしで簡単に解析できる方法はないの?

そんな悩み・疑問を抱えているあなたへ。実は、RNA-Seqのデータ解析は思っているより簡単に始められるんです!

この記事では、BGI社の専用ソフトウェア「Dr.Tom」を使ったRNA-Seq解析の基本的な流れを、超初心者向けに徹底解説します。

「Dr.Tom」を使えば、バイオインフォマティクスの専門家でなくても、直感的な操作で遺伝子発現データの可視化から様々な解析まで実施し、論文に使用できるレベルの図を自分で作成できるようになります。

Wetの研究者の方でも、「Dr.Tom」で本格的な遺伝子発現解析を始めましょう!

Dr.Tomとは?

本記事では、BGI社のソフトウェア「Dr.Tom」を活用したRNA-Seq解析の手法について超初心者向けにわかりやすく簡単に解説いたします。

なお、細胞調整、ライブラリ作成、シークエンスの工程については本記事では扱いません

Dr.Tomは、BGI社が開発したウェブベースのデータ解析・可視化システムです。主にRNAデータ(mRNA、miRNA、lncRNAなど)の解析や可視化、解釈を簡単に行うためのツールで、バイオインフォマティクスの専門家でなくても、簡単に遺伝子データの解析や可視化ができる便利なツールです。

まず、BGI社のホームページで公開されている下記の動画を視聴して、Dr.Tomについて基本的なイメージをつかんでください。

Dr. TomによるRNA-seqのデータ解析と可視化

Dr.Tomを使うためには?

Dr.Tomを利用するには、BGI社にRNA-Seqの解析を依頼する必要があります(依頼方法によって利用条件が異なる場合があります)。

すでにシークエンスデータを保有している場合Dr.Tom単体で契約し、自身のデータをアップロードして解析できる可能性もあります(筆者自身はこの方法は未経験)。

いずれの場合も、まずはBGI社または正規代理店へ問い合わせて、利用条件を確認することをおすすめします。

Dr.Tomの使い方

Dr.Tomの利用が可能になったら、以下のようなステップで解析を進めます。

データの確認

BGI社にRNA-Seq解析を依頼している場合、My report → プロジェクトを選択 → View の順で、自分のシークエンスデータを確認できます。

今回はデモデータとして、「Example report」内の Transcriptome sequencing (Mouse) を使用して解説を進めます。

画面左上のタブ(Home、Expression、Gene Annotationなど)を使って、必要な操作や解析項目を選んでいく流れになります。

DEGの確認、PCAの実行

Expression → Number of differentiated genes

DEG(発現変動遺伝子)をグラフに表示したい比較対象(グループ間やサンプル間)を選びます。

表示条件(Fold変化、p値、q値)は⚙(Setting)アイコンから変更可能です。グラフ画像はダウンロードできます。

グラフに表示されているDEGの一覧は画面右側にTableとして表示されます。TableはDownloadボタンでエクスポートできます。

PCA (Principal Component Analysis) を行うには、Table右下の Analysis PCA → Grouping (No grouping) → 任意のGroup (Sample) を選択してOK をクリックします。

PCA結果は画面右上の「My analysis」から確認でき、グラフのダウンロードも可能です。

ベン図の作成

Expression VENN of DEGs

画面左上の▷アイコンから比較対象を選択できます。作成されたベン図の画像はダウンロード可能です。

また、ベン図内の各集合をクリックすると、該当する遺伝子一覧が右側のTableに表示されます。

ヒートマップの作成

Expression → Cluster of DEGs

ヒートマップを作成するには、左上から比較したいグループを選択します。詳細な表示設定は⚙(Setting)アイコンから変更できます。

Volcanoマップ・Scatter plotの作成

Basic Info → Project Overview → 1.5 Scatter plot of DEGs → Scatter plot or Volcano map

表示したい比較を選び、Volcano map もしくは Scatter plot を選択します。詳細設定は⚙アイコンから調整可能です。

KEGG Pathway Enrichment 解析

KEGG Pathway Enrichment 解析を行いたい遺伝子群をTableから選択します。

例:下降遺伝子のみを抽出する場合

Expression > VENN of DEGs → 集合を選択 → Table → log2列のアイコンをクリック → “x <=” と “0” を入力 → OK
(上昇・下降の両方を含むDEGから、Fold値が1以下の遺伝子のみを抽出)

その後、Analysis → Enrichment → KEGG Pathway を選択します。

画面右上の「My analysis」から結果を確認します。グラフの表示も⚙アイコンでカスタマイズ可能です。

また、Gene Annotation → KEGG PATHWAY Enrichment からも同様の解析が実行できます。

まとめ

Dr.Tomは、BGI社が提供するRNA-Seq解析に有用な直感的なツールです。

DEG解析やPCA、ヒートマップ作成、KEGG解析など、複雑な手順を簡潔に行えるため、初心者でも安心して利用できます。Wet研究者でも使いやすく、論文レベルの図を手軽に作れるのも魅力です。

ぜひDr.Tomを活用し、あなたの研究に役立ててください。

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