「複数のグループを比較検定したいけど、どの統計ソフトを使えばいいか分からない…」
そんな悩みをお持ちのあなたへ。
研究や実験データの分析で、複数のグループを比較する「多群比較(多重比較)」は頻繁に必要となります。
しかし、いざ多群比較を行おうとすると、RやGraphPad Prismなど様々な統計ソフトがあり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
Rは無料で使える一方、操作が難しいという声も。Prismは使いやすさが魅力ですが、有料なのがネック…
この記事では、多群比較に焦点を当て、RとGraphPad Prismの長所・短所を徹底的に比較!それぞれのソフトの特徴を分かりやすく解説し、あなたにぴったりのソフト選びをサポートします。
さらに、Rの学習方法についても紹介しますので、初心者の方もご安心ください。
この記事を読めば、あなたの研究や実験データに最適な統計ソフトが見つかること間違いなし!
さあ、一緒に多群比較をマスターし、データ分析をスムーズに進めましょう!
はじめに
以前、統計の超初心者に向けて、統計学的な検定について解説した記事を執筆しました。
その際に多重比較を行う方法として下記のサイトを紹介させて頂きました。
上記のサイトでは多重比較で用いるTukeyの方法やDunnettの方法を実行可能です。インターフェースも分かりやすく、使い方を簡単にレクチャーするだけで、実習で学生に使って貰うことも可能です。大変素晴らしいサイトです。
ただ英文雑誌の投稿論文の欄に、上述のサイトを記載するのは難しいかもしれません。記載しても良いのかも知れませんが、私には経験がないので断言できません。
そこで本記事では、投稿論文に記載できる (しても多くの場合に問題ない) 統計ソフトウェアの中で、R と GraphPad Prism について解説します。両者とも私が使用している (したことがある) ソフトウェアです。両者の長所・短所に触れつつ、多重比較に注目した解説を行います。
RとGraphPad Prismの比較
Rの長所と短所
Rの長所
- (ほとんど) 全ての多重比較の検定を実行可能 → 「R + (検定手法の名前)」で Google 等で検索すれば、大体の検定方法のやり方が分かります。
- 無料で使用できる → R は無料でダウンロード・使用できます。
Rの短所
- 使えるようになるためのハードルが高い → R を動かすためにはコマンドを打つ必要があります。「データの場所を指定する」や「出力ファイルの名前を指定する」などの基本的な事もコマンドで指定する必要があります。初心者は検定を行う前の基本的な段階で挫折する可能性があります。一方、R の基本的な使い方をマスターすれば、個々の検定手法のコマンドは調べれば分かるので、独学でも様々な検定ができます。
GraphPad Prism の長所と短所
GraphPad Prism の長所
- 使いやすい → R と比較して、GraphPad Prism は圧倒的に使いやすいです。R の様に、検定を行うためにコマンドを入力する必要もありません。Excel と使用感が似ています。Excel に入力していたデータをコピペして、GraphPad Prism で検定・グラフ作成を行うこともできます。Excel の使用経験があれば、初心者でも1時間程度で検定を行うこともできると思います。
GraphPad Prism の短所
- 有料である → GraphPad Prism は有料のソフトウェアです。2023年8月現在、個人利用のサブスクリプション価格は学生 $142/年、アカデミック関係者 $202/年 です (参照元:How to Buy Prism)。いきなり契約するにはハードルがやや高い価格です。30日間は無料で試用できるので、使用感を確かめてから契約するのがおすすめです。指導教員に提案して、ラボの共用パソコンにインストールして貰うのもありだと思います。日本語版もありますが、英語版よりややお高めです。英語版でも使用に苦労することはあまりないので、迷ったら英語版から始めてみるのが良いかも知れません。
- 実行できない検定がある → R がほぼ全ての多重比較に関する検定が行えるのに対して、GraphPad Prism では実行できない検定があります。GraphPad Prism で実行可能な検定に関しては下のフローチャートにまとめました。注意点として、フローチャートに記載されている検定が、多重比較の検定の全てではありません。フローチャートに記載されていない多重比較の検定も沢山あり、その中には GraphPad Prism で実行可能なものもあります。普段自分が使う検定がGraphPad Prism で実行可能かを調べてから契約するのが良いと思います。
こんな人には〇〇の使用をおすすめ
R の使用をおすすめする人
- R の使用経験がある
- GraphPad Prism で実行不可能な検定を行いたい
- R の使い方を学ぶための時間がある (初心者は R の基本的な使い方を学ぶのにも結構な時間がかかる)
- 今後 R を継続的に使う可能性がある
- 無料で検定を行いたい
GraphPad Prism の使用をおすすめする人
- 実行したい検定が GraphPad Prism で使用可能である
- 検定について学ぶ時間がない (数時間以内に検定を行わないといけないが、R の使用経験がない等)
- GraphPad Prism を使える環境にある (購入資金がある、ラボのPCで使える等)
おすすめの学び方
おすすめの R の学び方
初心者が R を学ぶのはハードルが高いです。ネット記事や書籍を片手に勉強するのも良いですが、記事や書籍が想定していない箇所でつまずくことも多いです。つまずいた箇所を相談できる人が周囲にいないと、挫折する可能性が高くなります。
おすすめは学内・学外で行われている初心者向けの R を使った講義・演習・講習会に参加することです。教える側も初心者を指導するノウハウがあり、つまずいても質問できるので、挫折する可能性が低くなります。一通りの使い方を学んで、トラブルがあっても何とか自分で解決方法を探せるようになると、色々なことを自分でできるようになって楽しいです。
参加できる講義・演習・講習会がない場合は、生成AIに質問しながら勉強することもできるかも知れません。生成AIについては下記の記事もご参照ください。
おすすめの GraphPad Prism の学び方
GraphPad Prism は R と比較して使いやすいので、公式が出しているマニュアルを読むだけで使えると思います。「GraphPad Prism 〇〇(検定方法)」でGoogleなどで検索すればやり方が見つかると思います。もちろん生成AIに質問するのも有効です。
まとめ
この記事では、多群比較を行うための統計ソフトとして、RとGraphPad Prismを紹介しました。
Rは無料で利用でき、ほぼ全ての検定に対応している点が魅力ですが、操作に慣れるまで時間を要する可能性があります。一方、GraphPad Prismは有料ですが、初心者でも直感的に操作できる点が大きなメリットです。
どちらのソフトを選ぶかは、あなたのニーズやスキルレベルによって異なります。この記事が適切な統計ツールの選択の参考になれば幸いです。
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