【合格のための最善を尽くせ!】大学教員が考える獣医師国家試験の勉強のコツ

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この記事では「獣医師免許を持つ大学教員が考える獣医師国家試験の勉強のコツ」をまとめています。獣医師国家試験に限らず、多くの国家試験に共通するコツだと思います。

[この記事の執筆者の背景]

この記事の執筆者である私は獣医師免許を持つ大学教員です。2013年2月に行われた第64回獣医師国家試験を受験して獣医師免許を取得しました。自己採点によると得点率は ~74% (必須:45/50, A:56/80, B:58/80, C:34/50, D:35/50) でした。

受験当時は所属大学の国家試験対策委員を行っていました。また獣医師免許取得後は、獣医師国家試験の対策予備校で講師のアルバイトをしていた経験もあります (担当科目は解剖学)。

この記事は私が受験した2013年当時の知識に主に基づいて執筆しております。博士号 (獣医学) を取得した以降は獣医大学に所属していないため、情報が最新の出題傾向にそぐわない部分もあるかも知れません。その点も踏まえた上でお読み頂けると幸いです。

[獣医師国家試験の勉強のコツ]

[目次]

  1. 試験合格のための最善な行動を取る
  2. 得点率100%を目指さない、70-80%を目指す
  3. 知的好奇心にフタをする
  4. 合格者と同じ行動をして同じレベルになる
  5. 同級生と一緒に勉強する
  6. 合格した先輩の勉強方法を真似する
  7. 各科目への勉強時間の配分を考える
  8. 分からないことは深く考えずに、丸暗記した方が良い場合もある

1. 試験合格のための最善な行動を取る

当たり前と思うかも知れませんが、最重要項目です。徹底できない人も多いです。試験に合格するためには、試験に合格するための最善の行動を取りましょう。

具体的には下記のような行動を取りましょう。

  • 自分の興味はあるが、試験には出ない (出にくい) 分野は勉強しない (勉強の比重を落とす)
  • 自分の苦手意識があるが、試験に出る分野は勉強する
  • 一人で勉強するのが好きだとしても、自分や周囲のレベルを知るために同級生と一緒に勉強する

勉強すれば多かれ少なかれ成長はします。しかし、必要なのは効率的に成長することです。

最優先事項は試験合格です。その合格のために、つまらないこだわりやプライドは捨てて最大効率で成長できるような行動を取りましょう。

2. 得点率100%を目指さない、70-80%を目指す

獣医師国家試験に合格するために100%の得点率は必要ありません。合格基準は、必須問題については 70%以上、②他の問題(学説 A・B 及び実地 C・D)については 60%以上とされています (第75回獣医師国家試験(令和5年度)の結果について、農林水産省HP)。

100%の得点率を目指すと、あらゆる分野を深く勉強する必要があります。分野ごとの勉強時間の配分を見誤り、合格が遠のく可能性すらあります。

獣医師国家試験は5つの選択肢から1つの正解を選ぶ出題形式です。どんなに勉強しても、全ての問題を1択まで絞れるようになるのはまず不可能ですし、する必要もありません。

例えば「出題問題数のうち、5割を1択、3割を2択、2割を3択まで絞れる」ようになったとします。その場合の得点率の期待値は「50% × 1/1 + 30% × 1/2 + 20% × 1/3 = ~72%」で合格圏内です。満点ではなく合格点を超えることを目指しましょう。

3. 知的好奇心にフタをする

知的好奇心が旺盛過ぎると試験合格に不利に働く事があります。どんな分野でも好奇心旺盛に勉強するような人は、国家試験に関しては気を付けないとその性格が合格にあたり不利に働くことがあります。

国家試験の範囲は獣医学全般に渡ります。全分野に対して知的好奇心を持って深く勉強するのは時間がかかり過ぎます。「知的好奇心は満たせたが試験には落ちた」という本末転倒な結果になることもあり得ます。

試験勉強の期間には、試験に合格するのに必要な知識のみを頭に入れる位の姿勢で勉強しましょう。トリビアを調べている時間や頭に入れている余裕はありません。普段の大学の講義で知的好奇心を持つことは大事ですが、試験勉強の期間に関してはその好奇心にフタをしましょう。知的好奇心は、試験後に満たしましょう。

私が予備校で講師のアルバイトをしていた時に「クジラの大腿骨頭」について質問をしてきた受講生がいました。知的好奇心が旺盛だったのだと思いますが、そのような学生は気を付ける必要があります。「クジラの大腿骨頭」について試験で出題されることはまずないでしょう。そのような疑問に対する興味は試験終了後まで置いておきましょう。

4. 合格者と同じ行動をして同じレベルになる

獣医師国家試験は合格率が高い試験です。実施年にもよりますが、全体の合格率は70%以上、新卒に限れば80%以上にもなることもあります (第75回獣医師国家試験(令和5年度)の結果について、農林水産省HP)。

つまり、大半の受験者と同じレベルになっていれば、高い確率で合格できます。皆が解けない問題が解けなくても、皆が解ける問題が解ければ合格できます。

「皆が解ける問題を解けるようになる」のは合格のために必須です。模擬試験で皆が解ける問題を解けていなかった時は、その分野を集中して勉強した方が良いでしょう。

一方で、「皆が解けない問題を解けるようになる」のは必須ではありません。むしろ避けた方が良い場合すらあります。理由としてはマニアックな知識を好んで学習している可能性があるからです。数十年に一度しか出題されない問題を解けるようになるため勉強は、合格を目指すためには非効率的な勉強です。

5. 同級生と一緒に勉強する

自分が他の受験者と同レベルになっているかを知る最善の方法は、同級生と一緒に勉強することです。

1人で勉強していると、「自分のレベルが周囲と比較してどの程度か」、「マニアックな知識を入れ過ぎていないか」などを確認するのが難しくなります。同級生と一緒に勉強することで、自身の軌道修正を行うことが可能になります。

同級生と一緒に勉強することで、「分からないことをお互いに質問できる」、「覚えやすい語呂を教え合う」などもできます。私は基礎系の研究室に所属していたため、臨床の知識 (病理写真、レントゲン、エコーなど沢山) に疎いことがあり、臨床系の研究室に所属している同級生の教えが非常にありがたかったです。多分1人で勉強していたら合格できなかったでしょう。

1人で勉強するには覚悟が必要です。起動修正を自分でする必要があります。正しい勉強方法を自分で選び、自分の勉強方法が正しいと根拠なく信じないといけません。

一緒に勉強するのはお互いにとってメリットが大きいです。同級生と仲良く勉強しましょう。

6. 合格した先輩の勉強方法を真似する

勉強方法は、合格した先輩の方法を真似しましょう。独学でオリジナルの勉強方法を作るのは手間がかかるし、正しい方法か分からないのでおすすめしません。合格した先人達と同じように勉強して、同じように合格しましょう。

7. 各科目への勉強時間の配分を考える

例年の出題数が多い科目には、少ない科目より多くの勉強時間を費やしましょう。全ての科目に対して均等な勉強時間を割くことはおすすめしません。出題される可能性が高い分野により多くの時間を費やすのが、合格のための効率的な勉強です。

8. 分からないことは深く考えずに、丸暗記した方が良い場合もある

勉強していく過程で分からないこと (原因・理由・メカニズムなど) は必ず出てきます。そんな時は、ちょっと調べて解決しなければ、深く追求せずに丸暗記した方が良いかも知れません。

深く追求しない方が良いかも知れない具体例を3つ記載します。

  1. 「A という寄生虫が、なぜこのような生活環になっているのか?」→ 科学的な説明を見つけるのはおそらく難しい。黙って暗記した方が国家試験の合格に関しては有効な可能性が高い。
  2. 「ある病気に対して治療法 A がよく使われるが、なぜ似たような治療法 B は使われないのか?」→ 副作用、コスト、A や B の普及率や歴史など、原因は色々考えられる。ちょっと調べて分からなければ深追いしない方が良いかも知れない。現場の獣医師に気軽に質問できる環境ならきいても良いかも知れないが、わざわざ質問に行くのに時間と労力をかけるなら、おそらく他の勉強をした方が良い。
  3. 「薬剤の名称の由来」→ 薬剤の名称の由来 (名付けられた経緯など) を調べるのは、効率が良いと勉強とは言えない。語呂合わせでも良いので丸暗記した方が効率的。

ちょっと調べて分からないことが、もっと調べて分かる保証はありません。分かった所で、それが試験合格の最善策かも分かりません。深く調べる時間を使って、別の勉強をした方が良い可能性が高いです。

以上です。最善を尽くして合格を勝ち取りましょう!

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