この記事ではくら寿司の「ビッくらポン!プラス」をテーマにした数学の問題を作って、その解説を行っています。
下記の素晴らしい記事を拝読しました。くら寿司の「ビッくらポン!」の新システム「ビッくらポン!プラス」について解説・考察した記事です。
「ビッくらポン!プラス」のシステムが興味深かったので、この記事では「ビッくらポン!プラス」をテーマに数学の問題を作ってみました。
なお、私はこれまでくら寿司に両手で足りる程度しか行ったことがなく、「ビッくらポン!」を実際に行ったこともないので、そのシステムについて十分に理解していない可能性があります。また、私は数学を専門としている訳ではないので、確率計算にはあまり自信がありません。これらをご承知の上、お読みください。
目次
1.「ビッくらポン!」および「ビッくらポン!プラス」のシステムの解説
「ビッくらポン!」および「ビッくらポン!プラス」の概略は以下の通りです。くら寿司公式の発表だけではなく、予想も含みますのでご注意ください。
- 「ビッくらポン!」では注文した寿司皿の枚数に応じてくじを引けるシステムである。寿司皿5枚に対してくじを1回引ける。最も安い寿司皿の価格は115 円である。くじの当選確率は常に一定であると予想される。くじに当たると景品が貰える。
- 「ビッくらポン!プラス」は上述のくじが「3回に1回必ず当たる」様になるシステムである。くじに連続2回外れると、次のくじが確定で当たりになるシステムと予想される。「ビッくらポン!プラス」を利用するには、通常の「ビッくらポン!」を利用する場合と比較して、寿司皿1枚の価格が+10 円される。
- びっくらポン人気セット (690 円) を注文すると、当たりくじが1枚かならず付いてくる。
2.「ビッくらポン!プラス」をテーマにした数学の問題と解説
上述の「ビッくらポン!」および「ビッくらポン!プラス」システムが興味深かったため、それをテーマにした数学の問題を作成してみました。
問題
問1. 当たりの確率が p のくじがある。一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでの平均試行回数はいくつか。
問2. 問1のくじに「はずれが連続して2回出た場合、次に引いたくじが必ず当たりになる」という条件を与える。この場合、一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでの平均試行回数はいくつか。
問3. 問1と問2の条件に対して、下記の条件を追加する。
- p = 0.182
- 問1の条件でくじを1回引くためには、115円のお皿を5枚購入する必要がある
- 問2の条件でくじを1回引くためには、125円のお皿を5枚購入する必要がある
以上の条件下で、一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでに必要な費用の平均はいくらになるか。問1と問2の場合で各々求めよ。
以下に各問の解説と回答を記載します。
自分で答えを考えたい方はここで記事を読むのを一度ストップしてください。
↓
↓
↓
↓
↓
解答
問1. 当たりの確率が p のくじがある。一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでの平均試行回数はいくつか。
問1の解答.
当たりの確率は常に p なので、当たりを1回出すための必要な試行回数を求めれば良い。求める試行回数を n とおくと、
p × n = 1 ⇔ n = 1/p
∴ 1/p (回)
問2. 問1のくじに「はずれが連続して2回出た場合、次に引いたくじが必ず当たりになる」という条件を与える。この場合、一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでの平均試行回数はいくつか。
問2の解答.
次の当たりが出るまでに必要な回数とその確率を場合分けして考える。
1回目に当たりが出る場合、その確率は p となる。
2回目に当たりがでる場合、その確率は (1-p) × p となる。
3回目に当たりが出る場合は、2回連続して外れが出た場合であり、その確率は (1-p) × (1-p) となる。
以上より、平均の試行回数は
1 × p + 2 × (1-p) × p + 3 × (1-p) × (1-p) = p^2 -3p +3
∴ p^2 – 3p + 3 (回)
問3. 問1と問2の条件に対して、下記の条件を追加する。
- p = 0.182
- 問1の条件でくじを1回引くためには、115円のお皿を5枚購入する必要がある
- 問2の条件でくじを1回引くためには、125円のお皿を5枚購入する必要がある
以上の条件下で、一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでに必要な費用の平均はいくらになるか。問1と問2の場合で各々求めよ。
問3の解答.
問1と問2の各場合に分けて考える。
問1の場合、当たりを1回出すための必要なくじの試行回数は 1/p (回) でありため、p = 0.182 を代入すると 1/(0.182) = 5.5 回となる。
問1の条件でくじを1回引くためには、115円のお皿を5枚購入する必要がある。ゆえに、一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでに必要な費用の平均は
115 × 5 × 5.5 = 3159 (円)
問2の場合、次の当たりが出るまでに必要な回数の平均は p^2 – 3p + 3 (回) であり、p = 0.182 を代入すると (0.182)^2 – 3 × (0.182) + 3 = 2.5 (回) となる。
問2の条件でくじを1回引くためには、125円のお皿を5枚購入する必要がある。ゆえに、一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでに必要な費用の平均は
125 × 5 × 2.5 = 1554 (円)
∴ 問1の場合は3159円、問2の場合は1554円
3. あとがき
- 問2の問題を考えるのに苦労しました。というのも、「ビッくらポン!プラス」システムに対して、単純に「n 回目に当たりを引く確率はいくらか」という問題を作ると、答えを出すのが難しそうだったからです。「ビッくらポン!プラス」システムでは、n 回目の当たり確率は、n – 2 回目や n – 1 回目が当たりか外れかに影響を受けます。正確な当たり確率を出すためには、場合分け (n = 3 m, 3 m + 1, 3 m + 2 の場合など) や漸化式を使う必要がありそうだったので断念しました。代わりに問題を「一度当たりが出てから、次の当たりが出るまでの平均試行回数」とすることで、そこまで複雑な計算をせずに思考することができたと思います。
- 問3の p = 0.182 は最初に紹介した記事よりお借りしました。「ビッくらポン!」の正確な当選確率は分からないのですが、いくつかのサイト・体験談を見ても p = 0.182 は大きく外れていないと思います。この数字を仮定すると、1回当たりが出るまでの必要費用の平均は「ビッくらポン!」では3159 円、「ビッくらポン!プラス」は1554 円です。簡単に考えると、当たりが出るまでの費用がおよそ半額になるので、効率的に景品を貰うために「ビッくらポン!プラス」を利用するのはありだと思います。
- 「ビッくらポン!プラス」では確定で当たりが出るのも特徴です。問題では平均の試行回数を求めましたが、平均はあくまで平均なので、「ビッくらポン!」のシステムでは1回引いて当たりが出ることもあれば、何回引いても当たりが出ないこともあります。一方で「ビッくらポン!プラス」は3回引けば必ず当たりが出るようになっているので、精神衛生上も良いかも知れません。
- 上述した1回当たるまでの平均費用 [「ビッくらポン!」(3159 円)、「ビッくらポン!プラス」(1554 円) ] と比較して、必ず当たりくじが1枚かならず付いてくるびっくらポン人気セットの価格は 690 円である。価格だけを考慮して効率的に景品を貰うには、人気セットを購入するのが良いようです。ただ人気セットでは自分の好きなネタを選ぶことはできません。なので、価格以外を考慮すると、どの手法が最善かは好みに依ると思います。
- くら寿司には「スマホでビッくらポン!」というシステムもある (ややこしい)。簡単に言うと、スマホから特定の寿司/サイドメニュー/デザート/ドリンクを注文し、一定金額に達すると「ビッくらポン!」を1回引けるというシステムである。このシステムを反映して試行回数や費用を求める問題を作ろうとすると、条件設定が複雑になるのでこの記事では考慮しませんでした。
以上です。夏休みの自由研究にも使えそうなテーマですね。この記事を読んで「ビッくらポン!」に興味が出た人は是非くら寿司に行ってみてください。
コメント