「研究発表で上手く話せなかった」「聴衆の反応が薄くて自信がなくなった」そんな経験はありませんか? 研究成果を分かりやすく伝える口頭発表は、研究者にとって避けては通れない道です。しかし、スライド作成から発表まで、多くの注意点があり、どこから手をつければ良いか迷ってしまう方も多いでしょう。
この記事では、現役大学教員の私の経験をもとにして、学会発表・プログレス・ジャーナルクラブなどでの口頭発表で気を付けるべきことをまとめました。
各項目は「私が今までに指導されたこと」や「書籍などで学んだこと」、「自身の経験をもとに考えたこと」です。スライドの具体的なデザインというよりは、口頭発表をする際の考え方・姿勢が多めです。
【この記事で分かること】
- 発表のスライドを効果的に作るコツ
- 聴衆に分かりやすく伝えるための話し方
- 発表でよくある間違いと対策
- 発表を成功させるための姿勢
研究の口頭発表で気を付けるべきこと
各スライドの分類を意識
全てのスライドは、題名・要約・背景・目的・材料・方法・結果・結論・考察・今後の予定のいずれかに分類できます。各スライドがどれに分類されるかを意識してスライドを作成・発表しましょう。聴衆が各スライドがどれに分類されるか容易に理解できるようにしましょう。
過不足ない情報量を提示
過剰あるいは不十分な情報量は、聴衆の理解の妨げになります。聴衆が理解するのに過不足ない量の情報をスライドに記載しましょう。
文字と図は大きく
スライド中の文字や図は可能な限り大きくしましょう。小さい文字や図はないのと同義で、有益でないだけでなく、有害にもなりえます。
文字は図に置き換える
図は文字よりも多くの情報量を分かりやすく伝えることができます。文字での記載を図に置き換えられないか常に考えましょう。
全体構成と現在位置を示す
スライドは「全体の構成」と「現在位置」が分かるように作りましょう。これらが分からない発表は、話の流れや集中すべき聞き所が分かりにくく、聞くのが辛いです。
例として「目次を作り要所で示す (例 ここまで1章の話、次から2章の話)」、「スライドの総枚数と現在位置をスライド隅に記載 (例 5枚目/15)」など。
見出しにはメッセージを書く
学会発表の各スライドの最上段 (見出し) には手法ではなくメッセージを書きましょう。
例) 細胞増殖アッセイ→A群で細胞増殖が低下、遺伝子発現解析→B群でXX遺伝子が発現上昇
メッセージがきちんと書いてあれば、スライド中のグラフや図の意味が分からなくても発表の流れについていけます。
他者の発表から学ぶ
他者の発表から多くを学びましょう。他者の発表を何も考えずにただ聞くのはもったいないです。スライドの構成・レイアウト、話し方、質問に対する答え方など、学ぶことは多くあります。
良い発表からは多くを学びましょう。悪い発表からは、自分が繰り返すべきではない過ちを学びましょう。
聴衆の利益を考える
発表では聴衆の利益を考えましょう。発表者の利益にしかならない研究発表や論文紹介は、聴衆に聞いてもらえないので避けましょう。
発表原稿を作る
発表原稿を作りましょう。自分が何を言いたいのかがクリアになります。
ただし原稿を丸暗記して話すのは避けましょう。書き言葉をそのまま音声にしても、聴衆に伝わりにくいです。原稿の内容を頭に入れて、聴衆に語りかける様に発表するのが良いです。
レーザーポインターはビシッと止める
口頭発表時のレーザーポインターはビシッと止めましょう。スライド内をふらふらしたり、図をぐるぐる囲むポインターは、聴衆がどこを見たら良いか分からないです。
大事な図でポインターをビシッと止めて、聴衆の注目を集めましょう。
オンライン発表の環境整備
オンライン発表できる環境を整えておきましょう。
マイク付きイヤホン、ヘッドセット、ウェブカメラなどを準備して、ハード面の不安をなくしておきましょう。
オンライン学会では、Wi-Fiより接続が安定する有線(LANケーブル)の使用が求められる場合があります。普段Wi-Fiでネット接続している人も、LANケーブル接続の備えをしましょう。LANポートがないノートPCを使用する場合は、変換アダプタ(USB → LAN)を利用することもできます。
Garr Reynolds 先生の発表や著作に触れる
Garr Reynolds 先生の発表や著作に触れて、良い発表とは何かを知りましょう。Reynolds 先生のプレゼンについての講義をオンラインで視聴したことがありますが、今まで見たプレゼンの中で最も印象的なものでした。
まとめ
研究発表は、自分の研究成果を世の中に発信する重要な機会です。この記事では、スライド作成から発表の仕方まで、研究発表で気を付けるべきことをまとめました。この記事が、聴衆に分かりやすく、そして説得力のある発表を行う参考になれば幸いです!
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