
大学教員から民間企業への転職を考えているけど、どこから始めればいいかわからない…

転職エージェントって使った方が良いの?
アカデミアから民間企業への転職を考えている方も、転職エージェントの存在は知っていても、「本当に役立つの?」「どんなメリットがあるの?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
実は、大学や研究機関への転職と民間企業への転職には大きな違いがあり、特に民間企業への転職において転職エージェントはあなたの強力な味方になります。
この記事では、国立大学の教員から民間企業へ転職した著者の実体験をもとに、アカデミア(大学)から企業への転職において転職エージェントを活用するメリットを徹底解説します。
この記事が、あなたの転職の助けになれば幸いです!
民間企業への転職は真の公募
大学や研究所の公募ポジションは、形式上は広く募集しているように見えても、実際には特定の候補者に目星がついているケースがあります。
たとえば研究室で助教を募集する場合、教授としては全く面識のない人物を、書類と面接だけで選ぶのはリスクがあると感じることが多く、あらかじめ有望な候補者に声をかけておくこともよくあります。
つまり、公募の時点で「候補者が完全に白紙の状態」(=真の公募)なのか、それともすでに内部で有力候補が決まっているかは、外部からは見分けがつきにくいのです。後者の場合、これまで接点のなかった研究室の公募に応募しても、すでに打診を受けている候補者と競うことになるため厳しい選考になる可能性があります。
一方、民間企業の求人は基本的に本当に広く募集されている真の公募です。企業にとって有力な候補がすでにいるのであれば、求人を出さずにその人を採用すれば済む話だからです。
つまり、民間企業の求人に応募する際は、他の候補者と対等なスタートラインで選考に臨める可能性が高いといえるでしょう。
転職エージェントとは何か?
転職エージェントとは、転職希望者と人材を求める企業の間に入り、両者をつなぐ「仲介役」や「代理人」のような存在です。
簡単に言えば、「転職したい人」と「人材を採用したい企業」をつなぐプロのサポーターです。転職活動を一人で行うよりも、専門的な知識や経験に基づくアドバイスを受けながら進められるのが大きなメリットです。
私自身も、以下の動画で紹介されていた転職エージェントを利用して国立大学から民間企業へ転職しました。
なお、エージェント会社や担当者によって対応はさまざまらしいので、自分に合ったエージェントや担当者を選ぶことが大切かもしれません。
自分に合った求人情報が得られる
転職エージェントを利用するメリットの一つは、自身に合った求人情報を得られることです。
自身で求人を探すのは非常に骨が折れる作業です。例えば、大学や研究機関などの研究職・教育職の求人公募情報を提供しているポータルサイトであるJREC-INの膨大な求人情報の中から、自身にマッチした求人を自力で探し出すのは手間と時間がかかります。
また、各学会から発信される求人情報を個別に確認していくのも、同様に大変な労力を要します。
しかも、アカデミックの求人は前述のとおり真の公募ではない可能性がある点にも注意が必要です。
応募先の企業情報を得られる
アカデミアで次のポジションを探す場合、応募先の大学、研究所、研究室がどのような場所であるかを知ることは非常に困難です。
応募先の研究室のメンバーや、その大学で働いている人に話を聞くことはできるかもしれません。しかし、「他の大学と比較して何が異なるのか?」「どのような特色があるのか?」といった客観的あるいは体系的な情報を教えてもらうのは難しいでしょう。
これに対して、転職エージェントは数多くの企業について豊富な情報を保有しています。
応募先企業の特徴を他社と比較した上で、客観的で具体的な情報を提供してくれるかもしれません。入社後に所属予定の部署の規模や業務内容についても詳しく教えてもらえることもあるため、入社前に具体的なイメージを持つことができます。これは、ミスマッチを防ぐ上で非常に価値があります。
また、求人票には書かれていない選考情報を教えてもらえることもあります。例えば、「1次面接は人事担当者、2次面接は部門長、3次面接は役員が担当」といった具体的な選考プロセスの情報も知ることができるかもしれません。
少なくとも、個人で民間企業転職を進めるよりも、転職エージェントにより得られるメリットは大きいでしょう。
幅広い相談ができる
転職エージェントの担当者には幅広く相談をすることができます。
例えば、アカデミアから製薬企業への転職を検討している場合、製薬会社での研究職の具体的な業務内容、アカデミアの研究職との違い、企業がアカデミア出身者を採用する際の重視ポイントなどの情報をたくさん教えてもらえます。
その他にも、「製薬会社ってどんな雰囲気?」「インタビューフォームって何?」といった基本的な疑問から雑多な質問まで、気軽に相談できるのも大きな魅力です。
履歴書や職務経歴書を「使い回し」できる
民間企業転職では、書類選考で使用する履歴書・職務経歴書のフォーマットを複数の企業で使い回せる場合があります。
企業独自のフォーマットが指定されることもありますが、指定がない場合は同じフォーマットの書類を活用できます。
志望動機は企業ごとに調整する必要があるものの、経歴・職歴は変わらないため、同じフォーマットで書類作成できるのは大幅な時間短縮につながります。
一方で、大学での研究職を探す場合、書類選考のフォーマットは大学ごとに異なる可能性が高く、大学ごとに書類を一から作成する必要があります。
内容を使い回すことはできても、経歴・職歴をそれぞれのフォーマットに合わせて書き直すだけでも相当な労力が必要です。
プロによる書類添削と面接対策を受けられる
転職エージェントを利用すると、経験豊富な専門家による書類添削や面接対策を受けることができます。
書類の効果的な書き方、想定される質問、面接での心構えなど、そのサポート範囲は多岐にわたります。
大学や研究所のポジションに応募する場合、このような専門的な対策を受けるのは困難です。
知人の研究者に依頼することは可能ですが、あくまで善意に頼ることになるため、きめ細かなサポートは期待できません。そもそも、その知人がアカデミック転職に関する専門知識やサポート技術を持っている保証もありません。
これに対して、転職エージェントは転職のプロフェッショナルです。個人では収集できないほど豊富な情報と、長年蓄積されたサポートノウハウを持っています。彼らから受けられるサポートは実践的で有益です。


面接後のフォローアップが可能
転職エージェントを利用して転職をする場合、面接後にフォローアップを受けられる可能性があります。これは、転職エージェントを通じて応募先企業に面接内容のフォローができるということです。
例えば、面接中に「緊張のあまり、自分の学歴・経歴と異なることを言ってしまった」場合や、「年収や勤務地などの重要な条件について確認し忘れた」場合に、転職エージェントを通じて補足説明や追加質問ができることがあります。
もちろん、フォローアップが不要な完璧な面接が理想ですが、致命的なミスを回避できる可能性があるという点で、応募者にとって非常に心強いシステムといえるでしょう。
エージェントを利用しない場合でも、自分で応募先にフォローアップの連絡をすることは可能かもしれませんが、応募先にフォローを受け取ってもらえるかは分かりません。
また、転職エージェントを通じて、応募先からの面接フィードバックを受けられることがあります。例えば一次面接後に、「評価された点」「気になった点」「次の面接に向けての改善事項」などのフィードバック情報を転職エージェント経由で教えてもらえる場合があります。このフィードバックを次の面接に活かせるため、非常に価値の高い情報です。
処遇面談で条件の最終確認ができる
民間企業への転職では「応募→選考→内定→処遇面談→承諾」という流れが一般的です。
処遇面談では、収入や福利厚生について最終確認を行います。実際には、処遇面談の前段階(選考過程)で、エージェントがあなたの希望を聞きながら企業の人事担当者と調整を進めてくれています。処遇面談はその最終確認の場となり、条件に問題がなければ承諾という流れになります。
アカデミック(大学や研究所)の職では、このような待遇交渉や人事担当者との処遇面談を行えることは稀でしょう。特に、国立大学や研究所では、公務員に準じる待遇のため、そもそも給与などの待遇を交渉することが制度上困難なのかもしれません。
まとめ
大学や研究機関から民間企業への転職において、転職エージェントの活用は多くのメリットをもたらします。
専門的な情報提供、プロによる選考対策、面接後のフォローアップなど、個人では得られない価値あるサポートを受けることができます。
アカデミック出身者が企業転職を成功させるために、転職エージェントという強力なパートナーを活用してみてはいかがでしょうか。



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