英語論文の山、読破する時間がない…
そんな悩みをお持ちの研究者・学生の皆さんへ。 実は、AIを活用すれば、英語論文を無料で簡単に翻訳できる時代なんです!
論文翻訳に苦労している方は、DeepLやGoogle翻訳などの翻訳ツールをご存知でしょうか? これらのツールを使えば、論文中の必要な箇所を瞬時に翻訳したり、PDFファイルを丸ごと翻訳したりすることが可能です。
さらに、Google NotebookLMを使えば、論文の内容を理解するための質問をAIに投げかけることもできます。
この記事では、2024年現在で無料で使える翻訳ツールを厳選し、それぞれのツールの特徴や使い方を分かりやすく解説します。 AIも駆使して、論文を読む効率を劇的に向上させましょう!
必要な部分だけコピペして翻訳:DeepL, Google翻訳, PubmedX
自分が翻訳したい部分(論文のタイトル、要約、各図の説明、本文中の特定の段落など)をピンポイントにコピーして、翻訳ソフトウェアにペーストして翻訳させる方法です。
論文PDF中の特定の部分だけ翻訳したい場合に有効な方法で、最も手軽な方法です。日常的にこの作業を行っている人も多いと思います。
翻訳ソフトウェアとして、私はDeepLやGoogle翻訳を使用しています。
DeepL翻訳: 高精度な翻訳に定評のあるDeepLは、テキストや文書ファイルを瞬時に翻訳してくれます。日々の仕事で翻訳が必要な方にもおすすめです。
Google 翻訳: Google翻訳は、100以上の言語に対応する無料の翻訳サービスです。単語、フレーズ、ウェブページなど、様々な形式のテキストを翻訳できます
DeepLの方が翻訳精度が高い印象がありますが、無料版の文字数制限が1500字までなのに対し、Google翻訳は5000字まで翻訳できます。例えば、短い文章ならDeepL、長い文章はGoogle翻訳といった具合に、翻訳する文章の長さによって使い分けるのが良いでしょう。
ちょっとしたTips:PDFの文章をコピー&ペーストすると、予期せぬ改行が入ってしまい、翻訳結果が不自然になることがあります。そんな時は、ブラウザのアドレスバー(URLを入力する所)に一度ペーストしてからコピーし直すと、改行が解消されます。
ただし、この方法では原文にあった改行も消えてしまう点に注意が必要です。とは言え、PDFであることが原因でランダムに改行が入るよりは、翻訳結果を理解しやすいことが多いです。
PubMedで論文検索をする際に、タイトルや要約を日本語で確認したい場合は、「PubmedX」というGoogle Chrome拡張機能がおすすめです。PubmedXを使えば、Pubmed検索結果に日本語のタイトルと要約を表示されるようになり、論文の理解や選定がスムーズになります。非常に便利です。
PubmedXは、Pubmed検索結果への掲載雑誌のImpact Factorの表示やオープンアクセス論文へのリンクを表示など、便利な機能も備えています。Pubmedユーザーは是非利用してみてください。
PDFを丸ごと翻訳:Google翻訳
論文PDF全体を翻訳したい場合は、Google翻訳にPDFファイルをアップロードするのが最も手軽です。
多少の翻訳のぎこちなさはあるものの、ファイル全体を一度に翻訳できるのは大きなメリットです。翻訳後も図の位置や段落構成などは維持されるため、英語版と日本語版を見比べながら内容を理解するのに役立ちます。
利用例:日本語のPDFを留学生にシェア
Google翻訳を使えば、日本語のPDFを英語に翻訳することもできます。これは、実験プロトコルなど、ラボで使用する日本語の資料を留学生に共有する際に便利です。
日本語のPDFを渡して「Google翻訳を使えば英語のPDFにできるよ」と教えてあげればOKです。細かい翻訳ミスはあるかもしれないので、フォローが必要になることもあります。ただし、こちらで翻訳ソフトなり自力なりで翻訳した英語PDFを渡した場合もフォローが必要になる場面はあるので、Google翻訳を使ってもらうほうがトータルの労力としては少ないことが多いと感じます。
ラボ生活において、日本語のPDFをそのまま渡すことができるのは非常にありがたいです。
論文の内容について質問:Google NotebookLM
Google翻訳で全文を日本語に翻訳しても論文の内容が理解できない場合は、専門用語や専門知識などが原因で、内容を把握するのが難しいのかもしれません。
そんな時は、論文PDFをGoogle NotebookLMにアップロードして、論文の内容について具体的に質問してみましょう。NotebookLMは、質問に対する回答とその根拠となる論文の箇所を提示してくれます。
「〇〇という実験手法について説明してください」、「図1Aが意味していることを教えてください」などどんな質問でもOKです。AIは何度質問しても、嫌な顔一つせず丁寧に答えてくれます。
どんなに温厚な教員でも、同じ学生から同じことを100回きかれて、いつも優しく回答することは難しいと思うので、AIはすごいです。
NotebookLMの回答が難しい場合は、「〇〇にも分かるように説明して」と指示してみましょう。例えば、「高校生にも分かるように説明して」のように、自分の理解度に合わせて指示を調整できます。
「分かりやい例えを挙げて説明して」と指示するのも効果的です。下記は、以前に私が「DNAのクローニングとサブクローニングの違いについて、分かりやい例えを挙げて説明して」とAIに指示した時の回答です。非常に分かりやすいです。
- クローニング:友人から貰ったケーキのレシピを複数コピーして保管したり、友人に配ったりすること
- サブクローニング:レシピの一部を別のレシピブックに書き写すこと。元のレシピブック(親ベクター)から特定のレシピ(DNA配列)を取り出し、別のレシピブック(目的ベクター)に書き込むこと
NotebookLM のアップロード上限は 100 MBです。ファイル容量が大きい場合は、iLovePDFなどのオンラインツールを利用してPDFを圧縮しましょう。
利用例:論文紹介の準備に利用する
論文の査読会(ジャーナルクラブ)で論文を紹介する場合の準備に、Google NotebookLMを利用することもできます。
具体的には、論文PDFの要約、発表のアウトライン、発表スライドの構成、想定質問と回答例など、論文紹介に関わる多くのことをAIにさせることができます。
AIは便利なツールですが、論文紹介の準備に必ずしもAIを使う必要はありません。 ただし、AIが簡単に利用できる現在において、「AIが答えられるレベルのこと」には答えられるように準備していないと、準備不足と見なされるかもしれません。厳しい時代です。
逆にAIには分からないことや答えられないことを考えて発表することも大事です。
論文を単に翻訳したり読み上げたりすることはAIが行ってくれる時代です。AIにできない論文紹介を目指しましょう。
論文紹介については下記の記事もご参照ください↓
利用例:perplexityと組み合わせて使う
perplexityは検索に有用なAI検索エンジンです。質問に対して「回答」と「そのソース(Webページや論文など)」を一緒に示してくれるので、情報源の信頼性を確認することができます。
回答の根拠をアップロードしたPDF以外にも示してほしい時は、perplexityも利用しましょう。論文PDFにしか書かれていない事項ではなく、一般的な事項(例 汎用的な実験手法、基本的な生物学の知識)への質問に対して特に有効です。
perplexityにもPDFアップロードすることができますが、無料版だと1日3回までという制限があります。PDFをアップロードせずに文章だけで質問する場合には、回数制限はありません。
回答に対してPDF内に根拠が欲しい場合はNotebookLMを、PDF外にも根拠が欲しいときはperplexityと使い分けると、論文の理解により役立つでしょう。
まとめ
英語論文の翻訳は、DeepL、Google翻訳、Google NotebookLMなどの無料ツールを活用することで、効率的に行うことができます。
論文の必要な部分だけを翻訳したい場合はDeepLやGoogle翻訳を、PDF全体を翻訳したい場合はGoogle翻訳を、 論文の内容を深く理解したい場合はGoogle NotebookLMを利用しましょう。
それぞれのツールを使い分けることで、研究活動の効率化に繋がれば幸いです!
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