iDeCoは大学教員・研究者におすすめ?NISAと比較!メリット・デメリットを解説

生活

 

大学教員・研究者の皆さん、将来の生活資金の準備は万全ですか?

公的年金だけでは不安…


と感じている方もいるのではないでしょうか?

そんなあなたにぜひ知っていただきたいのが、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
iDeCoは、自分で運用しながら老後資金を積み立てられる制度で、節税効果も期待できます。

しかし、iDeCoにはメリットだけでなく、デメリットや注意点も存在します。

iDeCoって難しそう…

自分に合っているか分からない…


という方もご安心ください。

この記事では、教員がiDeCoを利用するメリット・デメリットを分かりやすく解説し、あなたにとって最適な選択ができるよう、以下の内容をまとめました。

本記事で分かること
  • DeCoの仕組みや特徴
  • 大学教員・研究者がiDeCoを利用するメリット・デメリット
  • iDeCoとNISAの比較
  • iDeCoを始めるべき大学教員・研究者の条件

この記事が、iDeCoの基礎知識から活用方法までを理解し、将来の安心に向けて一歩踏み出せるの役立てば幸いです。

iDeCoとは何か

 iDeCo (individual-type Defined Contribution pension plan, 個人型確定拠出年金) は自分で用意する年金です。構成する単語に分けて考えると意味が分かりやすいです。

  • 個人型:公的年金や企業年金ではなく、個人で用意する年金。
  • 確定拠出:拠出 (加入者が支払う掛金の額) が確定している。具体的には、毎月払う掛金額は自分で決められるが、貰える年金額は決まっていない (運用次第で変わる)。
  • 年金:原則60歳以降に受け取れる。つまり、60歳以前に受け取ることは原則できない。

 簡単に言うと、「公的年金 (国民年金、厚生年金) だけでは老後の生活がまかなえない可能性が高いから、個人でも年金を用意してね」と国が作った制度です。制度内容としては、利用者が掛金を払って、金融商品 (投資信託、定期預金など)を購入して運用し、老後に年金として貰うというものです。

 国が用意した年金制度だけあって、掛金が所得控除となるというメリットがあります。一方、年金という性質上、原則60歳以降にならならいと受け取りができないというデメリットもあります。

 NISA制度に例えて説明するなら、iDeCoとは「老後にしか引き出しできないが、積立金額が所得控除になるNISAのような制度」と言えるかも知れません。以下にNISAと比較したiDeCoのメリット・デメリットを記載します。

iDeCoのメリット

掛金の全額が所得控除となる

 NISAと比較した場合のiDeCoの最大のメリットは、掛金の全額が所得控除となる点です。控除とは税金を計算する際に受けられる割引のようなものです。

 例えば、所得税・住民税の合計を20%、iDeCoの毎月の掛金を1万円だとすると、支払う税金額が年間で1万円 x 12ヶ月 x 20% = 2万4千円も安くなるということです。NISAで積み立てた場合は、所得控除を受けることはできません。

 つまり同じ投資信託を購入する場合でも、iDeCoなら購入した分だけ税金が安くなる (節税になる) という点が、NISAにはないメリットです。

iDeCoのデメリット

原則60歳以降にならないと受け取りできない

 iDeCoは年金制度の1つです。年金という性質上、原則60歳以降にならないと受け取りができないというデメリットがあります。いわゆる資金ロックというやつです。

 怪我・事故・リストラなど予期せぬ事態が起こった時や、教育資金・旅行・マイホーム・マイカーなどでまとまった金額が必要になった場合でも、60歳以前に受け取ることは基本的にできません。

 毎月の掛金の支払いを止めることはできるようですが、その場合でもそれまで支払った掛金が戻ってくるのは60歳以降になります。一方NISAの場合、購入した投資信託はいつでも売却して現金を手元に入れることが可能です。

 従ってiDeCoの利用は、不測の事態に備える生活防衛資金「(毎月の生活に最低限必要な支出)x 半年~1年分」や、近い将来(15年以内)に必要になるお金が確保できたら考えるのが良いかと思います。

 また50歳代からiDeCoに加入すれば、受け取り開始時期が60-65歳になるので (「iDeCo法改正で65歳未満まで加入が可能に!」りそな銀行)、資金ロックのデメリットは小さくなると言えます。ただその場合、金融商品の運用期間が短くなることも同時に意味しています。運用期間が短いと、金融商品として投資信託を選択していた場合、元本割れのリスクがあります。

 従って50歳代からiDeCoに加入する場合は、金融商品として元本確保型商品 (定期預金や保険商品) を購入し、所得控除による節税を狙う戦略もあるかと思います。

転職に伴う手続きが煩雑 (※ここの記載は想像を含みます)

 iDeCoの利用の際には、勤め先への届け出が必要です。つまり、転職時には移動前後の勤め先で所定の届け出・事務手続き・判断をする必要があります。特にiDeCoの掛金上限額は、勤め先の企業年金制度に左右されるので、異動の度に毎月の掛金額が変わることもありえます。

 若手研究者は任期付きのポジションであることが多く、数年ごとに勤め先が変わることも珍しくありません。勤め先が変わる度に、上述の煩雑と予想される手続きが必要な点はiDeCoのデメリットと言えます。一方NISAは勤め先とは関係ない制度なので、勤め先が変わってもそのまま継続できます。

 以上より、任期がないポジションについており、職場が変わる予定がしばらくの間ない研究者なら、iDeCoの転職に伴うデメリットが小さいと言えます。

iDeCoの利用を検討すべき大学教員・研究者の条件

 これまでの記載をまとめると、iDeCoとは「老後にしか引き出しできないが、積立金額が所得控除になるNISAのような制度」と言えます。また、以下の条件のいずれか該当する研究者はiDeCoの利用を検討しても良いかと思います。

iDeCoの利用を検討すべき大学教員・研究者の条件
  • 生活防衛資金や近い将来必要になるお金が十分に確保できている
  • 50歳代である
  • 任期がないポジションについており、職場が変わる予定がしばらくの間ない

 個人的には下記の順で資産形成を進めて、資金に余裕が出てきたら上述の条件を考えつつiDeCoの加入を検討するというスタンスが良いと思います。

資産形成の手順
  1. 支出の見直し
  2. 生活防衛資金の確保
  3. 近い将来に必要なお金の確保
  4. NISAで投資信託を積み立て購入

まとめ

この記事では、大学教員・研究者がiDeCoを利用するメリット・デメリットを解説しました。

iDeCoは節税効果の高い魅力的な制度ですが、資金が60歳まで引き出せないなどのデメリットも存在します。

ご自身の状況に合わせて、NISAなどの他の制度と比較検討し、賢く資産形成を行いましょう。

参考資料

記事

「若手研究者のための資産形成術」 (実験動物ニュース 2023年 Vol. 72 No. 1, pp.25-29)

書籍

『お金の不安がなくなる 資産形成1年生』(小林亮平,2021,KADOKAWA)

YouTube

『両学長 リベラルアーツ大学』
【2022年からほぼ全員対象】iDeCoは老後資金問題の解決策になるのか?よくある質問6つに回答【株式投資編】:(アニメ動画)第134回

『BANK ACADEMY /バンクアカデミー』
【10月から】全員iDeCo時代がついに到来!企業型DCと併用しやすくなる大改正を徹底解説

『オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する』

【超拡大!】iDeCo 2022年10月大改正!ポイントと落とし穴【節税投資/積立年数、対象者/会社員/企業型・個人型確定拠出年金DC/メリット・デメリット/資産所得倍増プラン/山田の成績は?】

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