【テニュアトラック教員向け】テニュア審査の基準と対策!テニュア獲得経験者が解説

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テニュアトラック教員に採用されたものの、審査基準をクリアできるか不安…

そんな悩みをお持ちのテニュアトラック教員の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、国立大学で5年間のテニュアトラック助教を経てテニュア審査をクリアし、任期なしの准教授になった著者(現在は転職して民間企業勤務)の実体験に基づき、審査基準で確認すべき点や、通過のコツ、そして審査に臨む上での心構えまで、余すことなく解説します。

この記事が、テニュア取得を目指すあなたの不安を解消し、納得のいくキャリア形成をサポートするのに役立てば幸いです。

テニュア審査の基準を事前に知っておこう

テニュアトラック教員として応募・採用される前に、テニュア審査の基準を確認しておくことは非常に重要です。まずは、応募・採用予定の大学や学部に問い合わせてみるのが良いでしょう。

例えば、教育活動・研究業績・学内業務などの各項目において点数が設定されており、その合計で審査される仕組みになっている場合があります。たとえば、「授業を1コマ担当すると10点第一著者の論文1につき100点」など、明確な得点基準があるケースも見られます。

細かいですが、以下のような点も確認しておきたいところです:

  • 論文のインパクトファクター(IF)は点数に関係するのか?
     (例:IF20とIF1の論文が同じ点数として扱われるのか)
  • 共同第一著者の論文と、単独の第一著者の論文は同じ点数なのか?
  • 科研費などの外部資金について、例えば若手研究(4年)を獲得した場合、4年分で100ポイントなのか、それとも100ポイント/年 × 4年間 = 400ポイントとして計算されるのか?

こうした点は、制度の運用によって異なるため、応募・採用予定の大学や学部に問い合わせてみましょう。

ただし、必ずしも詳細まで教えてもらえるとは限りません。事務担当者が答えを知っていても事前に開示できない場合や、審査委員会での議論を要する場合もあるかもしれません。

ですので、「きくだけきいてみて、教えてもらえたらラッキー」くらいの気持ちで臨むと良いでしょう。

自分でコントロールできる部分に注力を

テニュア審査の項目には、自分の努力で点数を伸ばしやすい部分と、そうでない部分があります。

  • 努力で何とかなる可能性が高い項目: 論文数外部資金獲得額(科研費、民間助成金など)は、自身の研究活動によって増やせる可能性が高いです。
  • 努力だけでは難しい項目: 担当する授業数や実習数、所属する学内委員会などは、大学の事情や配属によって決まることもあり、個人の意思・努力だけでは調整が難しい場合があります。

そのため、自分の力でコントロールしやすい項目に注力して点数を稼ぐことをお勧めします。

周囲のサポートの重要性

テニュア獲得には、周囲からのサポートも非常に重要です。所属研究室の教授同じ学科内の先生方からの協力は、審査基準達成において大きな助けとなるでしょう。

特に、授業・実習や学内委員会は、どれほど担当したいと希望しても、必ずしも機会が与えられるとは限りません。

日頃から学内に知り合いを作り、授業や実習の担当に空きが出た際に声をかけてもらえるようお願いしておくなど、地道な人脈づくりも必要になるかもしれません。

採用後に初めて分かることも多い

残念ながら、テニュア審査に関して採用前に全てを把握することは困難な場合が多いです。

自分が担当できる可能性のある授業や実習、学内委員会などについて、採用前に問い合わせても具体的な回答が得られないことがあります。また、教えてもらえたとしても、具体的な授業のイメージがつかみにくいため、実際に自分が担当できるかどうか判断できないこともあります。

採用後に講義の主担当の先生と話し、講義内容を聞いて初めて、自分が担当できるかどうかを判断できる場合もあるでしょう。

採用前に全てを知ることは難しいと考えておくのが良いでしょう。

審査基準は変更される可能性もある

本来、テニュア審査の基準は採用時から変わらないべきですが、大学の方針転換や体制変更によって見直されることがあります。

大幅な変更は稀かもしれませんが、マイナーな変更(例:審査条件として新たに講習の受講が加わるなど)は起こり得ます。

どんなに計画的に基準クリアを予定していても、その審査基準が変わりうる可能性は常に頭に入れておくべきでしょう。

テニュア審査基準に振り回されすぎない

審査基準は、あくまで「テニュア審査を受けるための条件であることもが多いです。

審査基準をクリアすれば審査を受ける資格が得られますが、最終的にテニュア審査をクリアできる(テニュア職に就ける)かどうかは審査委員会(審査組織)の判断次第の場合もあるかと思います。

一般的には、審査基準をクリアしていれば審査も通過できることが多いと考えられますが、最終的な判断は審査委員会に委ねられているという点は意識しておくべきでしょう。

審査基準の達成を最優先すべきか考える

これまでテニュア審査の様々な点について説明してきましたが、「テニュア審査の基準を満たすことを、自分のキャリアにおける最優先事項にすべきかどうか」は慎重に考えるべきだと思います。

例えば、論文のインパクトファクター(IF)に関わらず論文数でのみ評価される場合、IF20の論文を1出すより、IF1の論文を多数発表した方が、テニュア審査の点数的には有利になるかもしれません。

しかし、こうしたテニュア審査の評価基準に合わせることが、自分の研究者としての信念やスタイルと一致しているかを見つめ直すことも大切です。

これはどちらが良い・悪いという問題ではありません。ただ、テニュア審査の点数を追うあまり、本来自分がやりたかった研究から逸れてしまっては本末転倒かもしれません。

テニュア取得は大きな目標ですが、それ以上に自身がどのような研究生活を送りたいのか、という点も考慮してキャリアプランを考えるのが良いのではないでしょうか。

まとめ

テニュアトラック教員にとって、テニュア審査の基準は将来を左右する重要な要素です。

情報収集自己努力でコントロール可能な部分への注力、そして周囲との良好な関係づくりが成功への鍵となります。

一方で、審査基準に翻弄されることなく、自身の研究者としての方向性と照らし合わせて行動することも重要です。テニュア取得をゴールとするのではなく、その先にある研究生活全体を見据えたキャリア設計も必要かもしれません。

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